破産とは?

320cce7780627c8fd4f6f1b499dfff87_s破産と免責とは、債務整理手続の中でも、精算型に分類される手続きです。支払時期が到来しているにも係らず、資力を欠き、継続してすべての債務を支払うことができない状態(支払不能)に至ったことを、裁判所に認めてもらい、併せて、免責許可を裁判に認めてもらうことで、法律上、債務の支払義務を免れる制度です。

※申立てる方の保証人等になっていない限り、家族の方に迷惑がかかることは通常はありません。

 

◎破産・免責のメリット◎

・全ての債務の支払い義務が免除される

・最低限の生活に必要な財産(家具等)は処分を免れる

・手続開始決定後、債権者は強制執行(口座差押・給与差押等)をできなくなります。

 

◎破産・免責のデメリット◎

・現在の価値が20万円を超える財産は原則としてすべて処分されてしまいます。(ただし、現金の場合は99万円。20万円を超える財産であっても、生活に必要な財産については、一定の場合、維持することが可能です。)雷家

・免責決定を得るまで、一定の職につくことを制限されます(資格制限)

※資格が制限される職業・・・弁護士・税理士等の士業、宅地建物取引士、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、警備員、証券会社外交員、質屋、風俗営業者、古物商、損害保険代理人、建設業者、後見人

・ローン審査に不利

※信用情報登録機関に破産・免責手続を行ったことが、一定期間登録されますので、新たなローンやクレジット契約が困難となります。

・クレジットカードの利用停止カード

・全ての債権者(知人・友人・親族等を含む)からの借入れにつき、一律に手続きを進めていかなければならないため、柔軟性・秘密性に欠けます

・官報に掲載

※政府が発行する機関紙(行政機関の休日以外毎日発行)に氏名・住所が掲載されます。

 

◎同時廃止と管財◎

 破産には、「同時廃止」「管財」の2種類の手続きがあります。

同時廃止・・・破産をされる方に財産がない場合であって、かつ免責不許可事由がないことが明らかな場合に、破産手続開始と同時に破産手続を終了させ、免責の手続に移行するため、破産をされる方は、原則1回裁判所にお越しいただくだけで、手続は終了します(期間は4か月程度)。

管財・・・破産をされる方に財産がある場合や、免責不許可事由がある場合に、裁判所から破産管財人選任され、財産や免責に支障をきたす事由を調査する手続きです。同時廃止に比べ手続が複雑になり、原則裁判所に1回破産管財人の事務所に1回お越しいただくことが必要があります(期間は6か月~程度)。

 

◎免責不許可事由◎

 自己破産・免責の手続を経ても、一定のっ事由がある場合には、免責が不許可となる場合があります。免責が不許可となった場合は、債務の支払い義務はなくなりません。

・財産の隠匿・・・財産があるのに、意図的に財産目録から除外したような場合

・換金行為等・・・申立て直前に、クレジットカードで買物をしてその商品を直ちに換金する行為がある場合(ショッピング枠の現金化)

・偏頗弁済・・・特定の債権者に対してだけ偏った弁済を行った場合

・ギャンブル・浪費による財産の減少・・・競馬・パチンコ等のギャンブル、株・FX・先物取引等の射幸行為によって、著しく財産を減少させた場合

・詐欺的な借入れ・・・破産申立前1年以内に、貸主に対し虚偽の所得証明等を提示して、信用状態を偽って借入れを受けた場合

・その他・・・一部の債権者だけを除外するなど虚偽の債権者名簿・債権者一覧表を裁判所に提出した場合、脅迫・暴行・欺罔行為等不正な手段により、破産管財人等の職務を妨害した場合、過去7年以内に免責許可決定を受けたことがある場合

 

 これらの事由に該当する事実があると、免責不許可事由があるものと判断されます。しかし、免責不許可事由があった場合、絶対に免責の許可を受けられなくなるわけではありません。

 免責不許可事由がある場合であっても、裁判所が諸般の事情を考慮して、総合的に免責を与えることが相当であると判断した場合には、裁判所の裁量によって免責が許可される場合があります(裁量免責)ので、免責不許可事由があるから自己破産ができないと諦める必要はありません。